生徒会の一存 感想とか批評みたいなもんだったり。

空気系、あるいは日常系アニメと言われる「生徒会の一存」アニメ版を全話観た。
このアニメは生徒会室でヒロイン4人と主人公の5人がぐだぐだとだべり続けるだけと言える箱庭型アニメ。らきすたをさらにスケールダウンして、なんと生徒会室から出るのは東京に合宿に行く話だけ!という箱庭感あふれる作品です。

とにかく、まず主人公が生徒会室に入った途端の第一声が「みんな大好きです!さあみんなでハーレムエンドを目指しましょう!」みたいなことを言うところに衝撃を受けた。

ギャルゲーとかハーレムものの作品って、主人公の周りには女の子がたくさんいて、すでにハーレム状態なのに、覚めてるというか異常に鈍感で、それについての言及がほとんどされていない。それに対してこの主人公は最下位だった成績を学年トップにしてまでハーレム状態の生徒会に入る根性が素晴らしい。宇野さん的にはまさに決断主義だな。


だってどー考えても普通のハーレムものアニメの主人公はその状況と言うだけで幸せすぎて死んじゃうレベルな訳で、物語を構成するにあたって主人公を鈍感にするしかない、という悲しい現実があった。しかしこのアニメはその前提を覆す衝撃をもって現れたことに自分は衝撃を受けた。まるで80年代から90年代前半にかけての主人公オラオラ系の再来だとも思ったね。でも、この生徒会の一存はそんな単純ではない。
主人公がなぜハーレムエンドを望むのかという一本の人生経験があり、それによって一人を愛するというものではなく、ハーレムを目指すというただのエロさではない裏付けがあるのだ。


ちなみにこのアニメはオタク的なネタが豊富で、分かる人には分かるネタが豊富に含まれている。しかもエッジが効いてるのがいい。また主人公達もある種のキャラクター化された現代高校生であり、メタ的な要素もある。まさにこのアニメを享受している層が普段行ってそうな行為がメタパロディとしてちりばめられているのもこの作品の魅力である。主人公がゲームと現実の区別がつかないふりをしてネタとするところとか、なんかリアルにあるもんなぁ。

もちろん、現実にはこんなゆるゆるで美少女ばかりの生徒会なんて存在しないのだけれど、でも私たちは小さな人間関係でこんな掛け合い漫才みたいな形で日常を生きている。そういう意味で、この作品は日常+願望といういいバランスのフィクションではないだろうか。

気に入ったのでみんなにお勧めします。12話構成で短いしね。

生徒会の一存 第1巻 限定版 [DVD]

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