ミチコとハッチンの感想
マングローブ原作の「ミチコとハッチン」を今更ながら見終わった。舞台はブラジルをモチーフにした荒廃した国。そこに暮らすハッチンは養父達にいじめられていた。そこに刑務所を脱獄して追われている身のミチコが無理矢理彼女を連れ出して旅に出るという話。
ミチコはヒロシという昔の男を探していて、ハッチンがヒロシの子供であるということで最初はそれを利用してヒロシを探そうとするが、旅をし続けるうちに二人の間には親子ではない、不思議な友情が生まれてくる。
まぁなんと言ってもさすがマングローブ、「サムライチャンプルー」を制作した動きに対する美学はぶれてない。ミチコが最初にハッチンを救出する場面なんか口がポカーンとあいてしまうくらい驚くような演出だ。
あと舞台設定がいい。ガンアクションあり、エネルギッシュな人間ありの世界観を出すのは今は南米だろう。南米の治安の悪さと、そこで生き延びていく様々な人種の人々の熱さなんてのは日本が舞台じゃ無理だよ。そこに眼をつけたマングローブはさすがと言いたい。
でもきっと南米が舞台じゃ感情移入出来ないんじゃないかという不安があったに違いない。制作陣には。でもそこで日系人達を主要キャラクターにするところなんかよく考えられた設定だね。
「シティ・オブ・ゴッド」でもそうだけど、銃さえあれば子供が大人を撃ち殺せる国ってのは崩壊しているんだけど、傍観者としてみる分にはなんでもありのアナーキーな雰囲気がたまらない。そこに住むには嫌だけど、そういう国があってもいいんじゃないかとさえ思ってしまう。そうじゃなきゃリアルでエキサイティングな作品はSFの世界だけになっちゃうもんね。
って舞台設定の話ばかりになってしまうのはどうしても自分がそういうところに惹かれてしまうからなんだよね。デンジャラスでカオスな世界にあこがれてしまうのは日本が平和過ぎるからか?
全体としては女性が監督したんだなぁという雰囲気の人間関係のストーリーです。アクションなんかは男性的なんだけど、ミチコとハッチンの関係の描き方はとても女性的な感性で描かれているって感じがする。ラストは欠落した人々の「あーやっぱりなー」って感じなんだけど、それでも変わらないミチコとハッチンの友情劇ってのには感動した。
そう、最後までロードムービーなんだよ。そう、最後まで。
ロードムービー好きにはぜひお勧めな作品ですよ。
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